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BY 編集部
各国の意匠出願実務においては、出願人が意匠図面に「使用状態参考図」を用いて、意匠対象物品の適用例や使用状態を示すことを認める国があります。これにより、審査官は意匠対象物品の使用環境や使用方法を理解することができます。
意匠対象物品の外観および意匠的特徴を十分に表現するために、使用状態参考図は、当該意匠対象物品の外観特性および使用環境に応じて、多様な形態で表現されます。ただし、使用状態参考図に開示される内容は、出願意匠の対象物品に関連していなければなりません。関連性が認められない場合には、審査官から削除を求められることがあります。
したがって、使用状態参考図の誤用により削除を求められることを回避するため、以下では実務上想定されるいくつかの事例を整理して説明します。
1. 意匠の外観を変更してはならない
意匠における使用状態参考図は、発明(又は実用新案)における実施例とは全く異なる概念です。使用状態参考図は、出願意匠を忠実かつ完全に表現しなければならず、意匠登録を受けようとする意匠の外観を変更することは許されません。
例えば、下図に示すように、斜視図および各面図において示した対象物品の外観が「一本の掛け棒を有するハンガースタンド」である場合、全く同一の外観の意匠に他の物品を掛けてその使用状態を示す図(下記使用状態参考図1)は、使用状態参考図として適法です。
しかし、使用状態参考図において、外観は同じくハンガースタンドであっても、「掛け棒が二本ある形態」を描いた場合(下記使用状態参考図2)は、出願意匠の対象物品と無関係であると判断され、削除を求められます。
各国の意匠出願実務においては、出願人が意匠図面に「使用状態参考図」を用いて、意匠対象物品の適用例や使用状態を示すことを認める国があります。これにより、審査官は意匠対象物品の使用環境や使用方法を理解することができます。
意匠対象物品の外観および意匠的特徴を十分に表現するために、使用状態参考図は、当該意匠対象物品の外観特性および使用環境に応じて、多様な形態で表現されます。ただし、使用状態参考図に開示される内容は、出願意匠の対象物品に関連していなければなりません。関連性が認められない場合には、審査官から削除を求められることがあります。
したがって、使用状態参考図の誤用により削除を求められることを回避するため、以下では実務上想定されるいくつかの事例を整理して説明します。
1. 意匠の外観を変更してはならない
意匠における使用状態参考図は、発明(又は実用新案)における実施例とは全く異なる概念です。使用状態参考図は、出願意匠を忠実かつ完全に表現しなければならず、意匠登録を受けようとする意匠の外観を変更することは許されません。
例えば、下図に示すように、斜視図および各面図において示した対象物品の外観が「一本の掛け棒を有するハンガースタンド」である場合、全く同一の外観の意匠に他の物品を掛けてその使用状態を示す図(下記使用状態参考図1)は、使用状態参考図として適法です。
しかし、使用状態参考図において、外観は同じくハンガースタンドであっても、「掛け棒が二本ある形態」を描いた場合(下記使用状態参考図2)は、出願意匠の対象物品と無関係であると判断され、削除を求められます。
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2. ペア状態またはペアで使用する物品の場合の留意点
ペア状態またはペアで使用する物品を意匠出願する際に、片側のみ又は単一の物品を出願対象とする場合、図面では片側または単一の物品を対象物品として描き、使用状態参考図においてペア状態やペアで使用する状態を示すことができます。
ただし、各国で使用状態参考図に関する規定は異なります。台湾では使用状態参考図における実線・破線の表現について特段の制限はありませんが、米国・オーストラリア等では、対象意匠部分以外の部分は、破線等で「意匠登録を受けようとしない」ことを表現する必要があります。ペア状態またはペアで使用する物品を使用状態参考図で示す場合、どの部分を実線(意匠登録を受けようとする部分)・破線(その他の部分)とするかは、対象物品の特性や図面の開示内容に応じて適切に判断する必要があります。
例えば、以下に示す米国登録意匠(US D1,067,314 S)は、片側の眼鏡テンプルを意匠対象とするペア状態の物品の例であり、使用状態参考図には眼鏡全体が描かれていますが、対象物でない反対側のテンプルおよびフレーム部分は、その他の部分としてすべて破線で示されています。

また、以下に示す米国登録意匠(US D618,272 S)は、片側のテンプルカバーを意匠対象とする、ペアで使用する物品の例であり、使用状態参考図には眼鏡全体が描かれていますが、この場合、眼鏡本体は破線で示されるのに対し、両側のテンプルカバーは実線で示され、意匠登録を受けようとする部分として扱われています。

このように、「ペア状態の物品」の事例では、両側のテンプルは、左右対称であっても本質的に異なる物品であるため、使用状態参考図において、反対側のテンプルは破線でその他の部分として示されます。
一方、「ペアで使用する物品」の事例では、両側のテンプルカバーは本質的に同一物品であるため、使用状態参考図において両側のテンプルカバーを実線で意匠登録を受けようとする部分として示されます。
さらに、ペアで使用する物品の場合は判断が異なる例として、以下に示す靴下の意匠出願を挙げます。
A.左右の区別のない靴下の場合
左右の区別がなく、両足に着用する靴下の外観が同一である場合、両方の靴下は本質的に同一物品とみなされますので、使用状態参考図では両方を実線で意匠登録を受けようとする部分として示すことが適切です。

B.左右の区別のある靴下の場合
片側に模様やパターンがあり、左右の靴下の外観に区別がある場合、両方の靴下は本質的に異なる物品とみなされます。この場合、斜視図および各面図で片側の靴下のみを対象としますので、使用状態参考図では反対側の靴下を破線でその他の部分として示すのが適切です。

【まとめ】
使用状態参考図は、多様な表現方法が可能ですが、使用に際しては一定の制限があります。出願人は、各国の使用状態参考図に関する規定を事前に把握した上で、対象物品の特性や図面の開示内容に応じた適切な使用状態参考図を作成する必要があります。これにより、補正を求められるリスクを低減することができます。
※本記事に関してご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。