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台湾及び中国における、再分割に関する新規定の比較

台湾及び中国における、再分割に関する新規定の比較

台湾で、最新の改正専利法は2019年11月1日より施行されており、その改正内容に合わせて、《専利審査基準》(以下、《審査基準》と略称)では、分割出願に関する規定が改正された。

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BY 張哲瑋

一、前言:

台湾で、最新の改正専利法は2019年11月1日より施行されており、その改正内容に合わせて、《専利審査基準》(以下、《審査基準》と略称)では、分割出願に関する規定が改正された。一方、中国も改正後の《専利審査指南》(以下、《審査指南》と略称)を同日に施行した。台湾と中国は経済上、文化上の交流が頻繁に行われており、尚且つ新たに実施された《審査基準》及び《審査指南》は両方とも再分割に関る規定が改正されたことから、出願時の参考になれるよう、筆者は、改正後の規定を以下に纏めた。

二、台湾及び中国の規定:

1. 台湾:

改正後の《審査基準》によると、「本節でいう『原出願』は、最初に出願日を取得した出願(親出願)とは限らない。前記親出願を分割出願し(子出願)、その分割出願(子出願)を更に分割出願(孫出願)する場合、その再分割出願(孫出願)の『原出願』は分割出願(子出願)であり、最初に出願日を取得した出願(親出願)ではない。」即ち、孫出願の提出時点は子出願の再審査査定前、或いは子出願の初審査・再審査査定書を受取ってから3ヶ月以内であり、親出願の状態から判断するものではない。




 

以上のことから、出願人は「一つの広義の発明概念」で、複数の実施態様を先に一つの出願をし、後日、審査の状況により、実質上同一ではない発明を分割することができる。例えば、右の図に示すように、出願人甲が一つの出願(親出願)をし、その出願の発明の概念がAとBに分かれていて、A概念にA1とA2の二つの実施態様が含まれ、B概念にB1とB2の二つの実施態様が含まれるものとする。

審査の結果、審査官が「A概念に関する請求項が登録可能だが、B概念の請求項に登録できない理由がある」と認めた場合に、出願人甲は、B1とB2の実施態様を分割出願(子出願)し、引き続きB概念の請求項の登録を求める。

更に、子出願の審査中において、出願人甲が前述のような状況(一部の請求項が登録可能)、或いはビジネス上の都合(例えば、B2の実施態様に関する請求項の出願権を出願人乙に譲渡する予定)などの原因で、B2の実施態様に関する内容を再度分割出願(孫出願になる)する場合には、前述台湾知的財産局の修正後の《審査基準》により、この孫出願は子出願の再審査査定前、或いは子出願の初審査・再審査査定書を受取ってから3ヶ月以内に提出することができる。但し、後者の時点で提出する場合、台湾専利法第34条第6項の「原出願の明細書または図面に開示された発明、且つ特許査定された請求項に係る発明と異なるものでなければならない。」との規定に注意すべきである。

2. 中国:

2010年バージョンの中国《審査指南》によると、出願人は原出願の登録査定書の受取後の2ヶ月以内、拒絶査定書の受取後3ヶ月以内、若しくは復審請求の提出後、又は復審決定に対して不服で提起する行政訴訟などの期間に、分割出願を提出することが可能である。



 

また、《審査指南》には、「…出願人は、専利局からの原出願に対して専利権を付与する旨の通知書を受領した日より2ヶ月以内に分割出願を提出しなければならない。…出願人が、分割出願した出願に対して更に分割出願を提出する場合、再度提出される分割出願の提出時間は、依然として原出願を基に審査すべきである。」その規定によると、前述のケースでは、出願人甲はB2の実施態様にて孫出願を提出する場合には、必ず親出願の許可査定書の受取後2ヶ月以内、親出願の拒絶査定書の受取後3ヶ月以内若しくは救済手続期間に提出しなければならない。前記期間を過ぎると、例え子出願が審査中であっても、孫出願は受理されない。

更に、2019年11月1日より施行された《審査指南》においては、「審査官より発行した分割通知書又は審査意見通知書において分割出願に単一性の欠陥があると指摘されたことにより、出願人が審査官の審査意見に基づき再分割出願をする場合、その再分割出願の提出時間は、単一性の欠陥があると指摘された当該分割出願に基づくべきである。」と改正された。言い換えると、出願人甲が子出願を分割出願し、原出願が上述の期間を過ぎたとしても、その子出願を審査した結果、審査官がB1とB2に関連する請求項との間に単一性がないと判断した場合、出願人甲は新規定により、孫出願の申請ができる。その際、孫出願の申請は原出願が上述の期限を過ぎて受理されないことはない。

三、結論

テクノロジーの発展に伴い、出願の技術もより複雑になってきて、出願の際に分割出願を利用する状況も増えている。台湾と中国はそれぞれ2019年11月1日から施行された新版の《審査基準》と《審査指南》において、それぞれ分割出願に関する規定を明確に改正したことから明らかに分かる。但し、前述のように、台湾と中国の分割出願に関する規定はかなり相違があることから、出願人が出願戦略を立てるときに、台湾と中国の「孫出願」の提出可能時期の違いを注意しなればならない。

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。  

 
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