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BY 編集部
経過
原告は、特許第I578252号(以下、係争特許と称す)の特許権者であり、参加人はその係争特許に対し無効審判を請求した。被告(台湾知的財産局)は、審理を行った結果、「請求項1~9の無効審判請求は成立し、特許権を取り消すべきである」との処分(以下、原処分と称する)を下した。原告はこれを不服とし訴願の請求を提起したが、経済部はそれを棄却し、原告は更にこの訴願決定を不服とし、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。知的財産裁判所はこれを審理した結果、原告の請求を棄却した。
本件訴訟において、知的財産局と知的財産裁判所は、「特許権を取り消す」ことについて判断が一致しているが、証拠8、即ち、Youtubeの動画が証拠能力を有するか否かについて、見解の相違があった。
参加人は無効審判請求の段階で証拠8を提出し、該証拠8は2015年6月4日にYoutubeサイトに発表された「7 Tips for Driving Sales with a Facebook Post」との動画であると主張したが、提出された資料は、証拠8のウェブアドレス、公開日情報の有しない動画内容が記録されたディスク、及び動画のスクリーンショットのみであった。
知的財産局の見解:
- 証拠8の動画のウェブページは既にYoutubeサイトに存在ぜず、ウェイバックマシンによって検索しても該ウェブページの資料が見つからない上、証拠8に係るディスクと動画のスクリーンショットには動画しか有しないので、その公開日を証明することができない。
- 無効審判請求人が提出した、民事訴訟の第一審判決で適格な証拠であると認定された証拠2を確認した結果、その証拠2のウェブアドレスは、無効審判請求人が提出した無効理由における証拠8のウェブアドレスと異なり、且つ、現時点、該二つのウェブアドレスの公開日が何れも確認できないので、公開日を証明できなく、且つ該二つのウェブアドレスも一致しない前提で、証拠8を証拠能力のないものとすべきである。
- 証拠8は証拠能力を有しないが、他の証拠により係争特許の進歩性を有しないことは十分に証明され得ることから、無効審判請求が成立する査定とした。
知的財産裁判所の見解:
- 証拠8の動画は、編集された痕跡を有しないので、信憑性のあるものとすることは疑う余地がないとともに、原告は、その動画が公証されていないだけで証拠能力を有しないものと認定したものの、その動画が、形式上の如何なる採用に値しない点を有するかについて具体的に指摘していないため、原告の主張は認められない。
- 証拠8に動画の公開日は開示されていないが、参加人より本件の審理中に、証拠8の公開日を証明できる参考証拠1を提出した。その参考証拠1のタイトルは、「7 Tips for Driving Sales with a Facebook Post」であり、参加人は、「参考証拠1は、参加人が2018年10月20日にYoutubeサイトで初めて証拠8の動画を検索したスクリーンショットである」と主張した。証拠8の動画を再生してみたところ、その画面の左上に、「7 Tips for Driving Sales with a Facebook Post」との文字が示されており、且つ、証拠8の00:00~2:53の間に表示された動画内容は、参考証拠1の内容と一致しているので、「参考証拠1は参加人が2018年10月20日にYoutubeサイトで初めて証拠8の動画を検索したスクリーンショットである」との主張は信用できるものとし、その参考証拠1に示した配信日は2015年6月4日であるため、参考証拠1は、証拠8の動画の公開日を証明できる補強証拠とすることができる。
資料の出所:
1. 知的財産局専利主題網、専利行政判決108年度行專訴第22号,2020年10月8日。
2. <https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-741-881874-b56cf-101.html>
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