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BY 蕭 人瑄
特許権取り消しの請求手段として、日本では、特許異議申立制度及び特許無効審判制度が利用できる一方、台湾では、特許異議申立制度を有しなく、無効審判制度しか利用できず、台湾の専利法第73~81条、その施行規則第71~76条、及び専利審査基準第五篇に、関連規定が明記されている。ここに、下記の対比表に示すように、台湾専利無効審判の規定と、日本特許異議申立制度、日本特許無効審判との相違点について説明する。
【対比表】
特許権取り消しの請求手段として、日本では、特許異議申立制度及び特許無効審判制度が利用できる一方、台湾では、特許異議申立制度を有しなく、無効審判制度しか利用できず、台湾の専利法第73~81条、その施行規則第71~76条、及び専利審査基準第五篇に、関連規定が明記されている。ここに、下記の対比表に示すように、台湾専利無効審判の規定と、日本特許異議申立制度、日本特許無効審判との相違点について説明する。
【対比表】
日本 特許異議申立 | 台湾 専利無効審判 | 日本 特許無効審判 | |
趣旨 | 特許の早期安定化を図る | 特許権者及び公衆の利益の調和を図る | 特許の有効性に関する当事者間の紛争解決を図る |
申立人・請求人の適格 | 何人も可 (匿名は不可) | 何人も可(匿名は不可、且つ特定事由について、利害関係者のみが請求できる) | 利害関係人のみ |
申立て・請求の期間 | 特許掲載公報発行の日から6ヶ月以内(権利の消滅後は不可) | 特許公告日以降いつでも(権利の消滅後でも可能) | 設定登録後いつでも(権利の消滅後でも可能) |
申立て・請求の対象 | 請求項ごとに可能 | 請求項ごとに可能 | 請求項ごとに可能 |
申立て・請求の取下げ | 取消理由通知後の取下げは不可 | 答弁書提出後の取下げは相手方の承諾があれば可能 | 答弁書提出後の取下げは相手方の承諾があれば可能 |
異議/無効の理由 | ・公益的事由(新規性、進歩性、明細書の記載不備等) | ・公益的事由 ・権利帰属に関する事由(冒認出願、共同出願違反) ・特許後の後発的事由(権利享有違反、条約違反) | ・公益的事由 ・権利帰属に関する事由 ・特許後の後発的事由 |
審理方式 | 書面審理(口頭審理は不可) | 原則書面審理(面接、口頭審理も可) | 原則口頭審理(書面審理も可) |
審理時の申立人/請求人の参加の有無 | ほぼ無し(訂正請求があった場合のみに意見書を提出できる) | 有り | 有り |
複数申立て・事件の扱い | 原則併合して審理 | 原則は併合せず、事件ごとに審理(併合も可) | 原則は併合せず、事件ごとに審理 |
決定・審決 | 請求項ごとに特許の取消し若しくは維持又は申立て却下の決定 | 請求の成立若しくは不成立(一部成立の場合もある)又は却下の審決 | 請求の成立若しくは不成立又は却下の審決 |
一事不再理の適用 | 無し | 有り | 有り |
不服申立て | 取消決定に対して、特許権者は、特許庁長官を被告として東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に出訴可能; 維持決定及び申立て却下の決定に対する不服申立ては不可 | 請求の成立や不成立、又は却下の審決に対して、特許権者及び/又は請求人は、訴願を経て、特許庁長官を被告として知的財産高等裁判所に出訴可能 | 審判請求人及び特許権者の双方とも、相手方を被告として、東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に出訴可能 |
前記対比表からも分かるように、台湾の現行の専利無効審判制度は、「知的財産局と特許権者との間で進められる査定系手続」と、「審判請求人と特許権者との間で進められる当事者系手続」とを混合した制度であると言えるが、2020年12月30日に公表された専利法の一部の条文の改正案によると、専利無効審判制度は、当事者系手続により一致させるために、例えば、その審理方式、不服申立てに対する重大な変更を予定していることから、自己の権利に悪影響が及ばないように、特許権者及び当業者は、当該制度の変革に注目すべきである。弊所は、この改正案の進捗状況に関する情報が入り次第、隋時更新致します。
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