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BY 編集部
本件の係争特許は、特許第I573632号である。無効審判請求人は、専利法第22条第2項の規定違反を事由として係争特許に対する無効審判を請求し、それに対し特許権者が訂正を提出した後、知的財産局より、「請求項1についての無効審判の請求が成立し、請求項1に係る特許は取り消すべきであるが、請求項2~10についての無効審判の請求は、成立しない。」との処分を下した。「請求項1についての無効審判の請求が成立し、請求項1に係る特許は取り消すべきである」との処分に不服がある原告は、訴願及び行政訴訟を提起し、知的財産裁判所は審理を経て、108年(2019年)度行専訴字第64号の判決において原告の訴えを棄却した。この行政訴訟における主な争点の一つは、本件に係る証拠2が証拠能力を持つかどうかである。以下にて、知的財産局及び知的財産裁判所それぞれの見解を示す。
知的財産局の見解:
証拠2の1ページ目の右上には、発行年月(Feb.2013)が記載されていることから、、「発行年月が記載されているものは、当該年月の最終日とする」との刊行物公開日の推定に係る規定により、その公開日が2013年2月28日であって、係争特許の優先日である2015年4月2日よりも早いと判断できる。また、一般的に、カタログは販売商品を紹介、説明するものであり、発行されたカタログは必然的に知れ渡るので、印刷だけをしてそれを公開しないはずがない。よって、係争特許の優先日よりも前に証拠2が公開されたと推定することができる。要するに、普通の人は証拠2のカタログを取得できるので、公開の事実が存在する。
知的財産裁判所の見解:
訴願委員会が職権調査により証拠2の電子データを取得し、かつそのウェブサイトのファイル作成時間が2013年3月28日(Thu Mar 28 14:10:51 2013)であると表示されていたことから、訴願当時において証拠2がインターネットより取得可能であったのを証明することができる。また、ウェブサイトに表示されたファイル作成時間である2013年3月28日により、証拠2は確かに係争特許の優先日の前に公開されたものであることから、公衆に知られ得る情報であるので、係争特許の先行技術に該当し、証拠能力を持っている。要するに、原告は、ウェイバックマシン(Wayback Machine)により2013年2月から係争特許の出願日(2016年3月30日)までに遡って、その間におけるMilwaukee社のウェブサイトのアーカイブデータを検索したが証拠2のデータがなかったと述べ、証拠2が係争特許の出願日前に公開されていなく、証拠能力を持たないと主張したが、その内容は採用するに足りない。
出処:專利主題網,108年度行專訴字第64號,台湾知的財産局,2021年4月6日
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