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刊行物の証拠能力の認定について

刊行物の証拠能力の認定について

本件の係争特許は、その出願日が2010年4月21日であり、知的財産局により2013年10月24日に特許査定されて公告された。

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BY 編集部

一、事実経過

 

本件の係争特許は、その出願日が2010年4月21日であり、知的財産局により2013年10月24日に特許査定されて公告された。参加人(無効審判請求人)は、専利法第22条第2項の規定(進歩性)違反を事由として係争特許に対する無効審判を請求し、被告(知的財産局)より、「請求項1~10についての無効審判の請求が成立し、特許は取り消すべきである」との処分を下した。該処分に不服がある原告(特許権者)は、訴願、行政訴訟を提起し、知的財産裁判所は審理を経て、原告の訴えを棄却した。

本件の無効審判において提出された証拠2は、2007年6月に公開された「XQ全球贏家華人投資決策系統(XQグローバルウィナー華人投資意思決定システム)」のマニュアルの正本であり、証拠3は、2007年6月に公開された証拠2であるマニュアルの外観写真、発行日及び無効審判の関連頁である。

この行政訴訟における主な争点は、本件に係る証拠2、3が証拠能力を持つかどうかにある。以下にて、知的財産局及び知的財産裁判所それぞれの見解を示す。

二、知的財産局の見解:

1.    証拠2は一体成型されたソフトカバーであり、且つその最後の頁には、「2007年6月 初版1刷」と記載されていることから、証拠2の公開日が係争特許の出願日である2010年4月21日よりも早いので、証拠能力は有すると判断できる。また、証拠3は、証拠2であるマニュアルの外観写真、発行日及び無効審判の関連頁である。証拠2、証拠3は、1つのグループに属する関連証拠である。

2.    無効審判請求人が無効審判の請求時に提出した証拠2は、マニュアルの正本であり、又、無効審判請求人が提出した証拠3は、証拠2の外観写真、発行日及び無効審判の関連頁のコピーであり、証拠3と証拠2とを対比してみると、両者の内容は一致していない箇所はない。よって、証拠2「2007年6月初版」及び証拠3「証拠2の証拠書類の関連頁」に基づき、その掲載された技術内容の公開日は、係争特許の出願日である2010年4月21日よりも早いと認定できるので、証拠2~3は証拠能力を有する。

三、知的財産裁判所による判決の見解:

1. 上記二の見解に加え、証拠2の最後の頁には、「2007年6月 初版1刷」ことが記載されていることから、「発行年月が記載されているものは、当該年月の最終日とする」との刊行物公開日の推定に係る規定により、その公開日が2007年6月30日と推定し、係争特許の出願日である2010年4月21日よりも早いと判断できる。よって、証拠2、証拠3は、係争特許の出願前に早く公開された従来技術であると推定することができ、証拠能力を有する。

2. なお、証拠丙5~8は、2007~2010の間に販売されたXQグローバルウィナーソフトウェア及びそのマニュアルの、ユーザがサインして返送した注文書のファックス、その見積日、注文日又はファックス送信日の何れも係争特許の出願日より早い。証拠丙5~8に掲載された商品仕様のみにより、そのソフトウェアのバージョンが証拠2に掲載されたものと同一であると判断できないが、証拠2の印刷日は2007年6月であることから、経験則に基づけば、2007年6月以降の一定期間内、ソフトウェアのバージョンが大幅に更新される前に、添付のマニュアルは証拠2であると判断できるので、証拠丙5~7、即ち、ユーザに提供されたマニュアルは証拠2であると判断でき、つまり、公開された事実を有すると分かる。

3. さらに、証拠2は一体成型されたソフトカバーであり、タイピングによる印刷書類であり、その性質は刊行物に属し、専利審査基準に記載されている証明書、実物写真、会社の内部設計図、ビデオテープ、宣言書または誓約書などの私文書ではなく、且つ証拠2の内側の頁には、商品の使用方法に関する完全な説明が含まれ、最後の頁には、出版発行、アドレス及び印刷日が明確に記載されているので、証拠2は形式上の信憑性を有する。

4. 従って、原告は、証拠2が証拠能力を持たないと主張したが、その内容は採用するに足りない。

出処:

專利主題網,108年度行專訴字第90號,台湾知的財産局,2021年6月7日
https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-741-891174-ff66b-101.html

 

 

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。

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