台湾知的財産局は､商標の独占権の放棄に係る審査基準の修正に関する公聴会を2009年10月7日に開催した｡この公聴会においては､欧州連盟の商標法と対照し､将来､商標法における独占権の放棄の規定をこの修正によれば､商標出願登録においては､疑義のある部分についてのみ独占権を放棄することとなる｡

商標における独占権の放棄とは､商標出願人が､商標における説明文字､識別力を有しない文字､又は図形の独占権を放棄するとのことである｡例えば､「大同電鍋」（電鍋とは､商品名である｡）の「電鍋」､「同仁堂」の「堂」等の商品及び商店の説明文字からなるものは､該商標登録を受けるために一部の独占権の放棄すべきである｡

独占権の放棄との規定は､商品或いはサービスの品質､機能､又は産地等の説明文字又は図形を商標にすることが多いことから由来した｡これらの説明文字は､識別力を有しないことから､一部の人に独占排他権を与えては､関係市場が独占されしまう虞がある｡

商標法が制定された当初において､規定が厳しかったことから､上述のような識別力を有しない文字又は図形は､商標の一部としてしてはなからかったが､後に､識別力を有しないものの独占権を放棄すれば登録できるようになった｡今回の修正は､基準の記載に当たって､過去の条文的記載方式を､解説を有する記述方式に修正し､更に､出願人に独占権を放棄する適用条件を分かってもらうよう､新しい案例を多く付け加える｡

そもそも､台湾知的財産局は､本来独占権の放棄との規定を排除する意向があったが､商標のタイプは多種多様であり､独占権の放棄に係る基準に関しては､審査官の間においても､意見の食い違いを生じることがある｡更に､審査官は､全ての商品及びサービスに関して､分かるわけではない｡以前の案例において､「ナノ」との商品が市場に出てきた頃に､審査官は､「ナノ」が材料であるということを知らずに､独占権の放棄をさせずに､登録査定を下したことがあった｡

この他に､審査官は､独占権を放棄すべきが､独占権を放棄しなかった出願人に､一々補正命令書より知らせる必要があるのでることにより､審査が延滞してしまうる｡

前記事情を踏まえ､台湾知的財産局局は､カナダとオーストラリアの制度を参照し､独占権の放棄との規定を排除する意向である｡尚､商標の権利に係る紛争が起きた際には､裁判所の判断に委ねることとなる｡
 

タイプ	商標	独占権を放棄する必要のある部分	理由
説明文字		齋	商店の称呼であるため､識別力を有しない｡
一般的な名称		Cosmetics	英語では､化粧品の意味を有することから､指定商品名であるので､識別力を有しない｡
識別力を有しない文字		集團	「集團」は､グループの意味を有するので､識別力を有しない｡
設計してない文字		手工豆花	商品の製造方法の説明であるので､識別力を有しない｡
識別力を有しない図形		棒状チョコレート図形	指定商品の実物図形であるので､識別力を有しない｡

資料の出所：独占権の放棄に係る審査基準草案                 製表者：何蕙安

新聞の出所：何蕙安（2009）「聯合報（2009.10.7）」｡