台湾知的財産局は2014年10月14日に専利法施行細則の一部の改正案を公布した。改正した条文及び概要は以下の通りである。
1. 新規性喪失の例外に係る猶予期間の計算
専利法第22条第3項及び122条第3項に定められた、6ヶ月の猶予期間の計算は、該項の各号の特定した公開事実の発生日の翌日から起算して該出願案の出願書類が完備し、出願日を取得する日までであることを明確にした。
2. 二重出願に関連する規定
同一の出願人が同一の創作について、同日に特許及び実用新案をそれぞれ出願する場合、同日とは、同一の創作の特許及び実用新案の出願日が同じ日であることを指す。優先権を主張する場合は、優先日も同じ日でなければならない。このような場合、専利法32条第1項により出願時にそれぞれ声明すべきであると規定されているが、この度の施行細則の改正では該声明を出願時に行うべき項目であると共に、実用新案公告時に公報に記載すべき項目であることを明確にし、また、それぞれ声明しなかったとはどのような状況であるのかを説明した。さらに、実用新案登録の当然消滅又は取り消しの確定が、特許の登録査定後に生じた場合には、特許を公告すべきではないことも明確にした。
3. 国内優先権を主張する先願に対し証書料を納付する場合の取り扱い
国内優先権の主張対象となる先願に対し出願人が、専利法第52条第1項、第120条が準用する第52条第1項により証書料及び一年目の年金を納付する場合に、知的財産局は出願人に期限内に、後に出願したものの優先権の主張、若しくは先願の登録申請を取り下げる通知をしなければならない。出願人が期限内に択一しなかった場合は、特許権の重複を回避するために、先願を公告しないと共に、出願人に証書費及び一年目年金の返還を請求できることを通知しなければならない。
注:前記改正は、2014年11月6日に中華民国経済部により公布施行されている。
専利手数料徴収準則の改正について
2013年6月11日の改正専利法及び実務の需要に合わせて、「受益者負担」及び「合理的な料金設定」に基づいて、専利手数料徴収準則の一部の条文を改正する。その改正案は以下の通りである。
1. 二重出願を権利の接続制度への、専利法第32条の改正に合わせて、これを理由に無効審判を提起した場合に、その手数料は一万台湾元となる。
2. 分割出願案の発明名称、出願人の氏名又は名称、発明者の氏名及び要約書が英訳されている場合は出願費を減免することができる。
3. 出願変更及び分割案を電子方式により申請するものは、減免申請の対象となる。
4. 派生意匠の出願及び派生意匠に出願変更する案件の費用の納付根拠を増訂すると共に、部分意匠を取り入れた後の出願変更に係る経過措置を削除する。
注:前記改正は、2014年11月6日に中華民国経済部により公布施行されている。
特許及び実用新案の権利接続制度に関する議題についての研究分析を、知的財産局が公布した
知的財産局は、発明及び実用新案に関する権利接続制度(二重出願)に対し過去に数回の公聴会、説明会及び座談会にて専利審査基準に関し検討した様々な問題を、出願人が参考できるよう、その研究分析した結果をウェブサイトに公告した。以下がその公告の内容を一部抜粋したものである。
1. 「同一の出願人」である判断時点:二重出願の権利接続において、特許出願人と実用新案権者とは、「特許出願時」、「択一選択の期限通知時」、「特許査定時」及び「特許公告時」などの時点において完全に一致していなければならない。故に、出願後から特許査定するまでの期間に譲渡をしようとする場合には、特許及び実用新案を併せて譲渡しなければならない。若し特許査定前に、特許及び実用新案の出願人が異なっていた場合は、権利接続制度を適用することができなく、且つ先出願原則の違反(異なる出願人による同日出願の同一発明)になるので、知的財産局は出願人に協議すべき旨を通知する。協議が成立しない場合は、特許を受けることができず、実用新案権は最初から存在しないことと見なす。
2. 「同日」:「同日」という規定は、同一の特許及び実用新案の出願日が同一であることを指す。また、優先権を主張する場合には、特許と実用新案の優先日も同一でなければならない。若し、特許或いは実用新案のどちらかのみ優先権を主張する場合には、二重出願における「同日」の規定を違反することになる。
3. 「国内優先権」:二重出願の出願が国内優先権を主張しようとする国内優先権の基礎案も二重出願である場合には、それぞれ、実用新案及び特許の優先権をそれぞれ主張しなければならない。
4. 「補正」:二重出願の特許案が補正され、大部分の請求項が実用新案と異なるものになったとしても、特許査定前に一つでも実用新案と同一の請求項を有すれば、知的財産局は出願人に対し、何れかを選択する通知書を出す。特許を選択した場合に実用新案権は特許公告の日から消滅し、出願人は、実用新案を訂正する必要がなく、権利接続のメリットを有する。但し、特許の請求項と実用新案の請求項が完全に異なる場合、権利は並存でき、接続するか否かの問題は発生しない。