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中国第4回専利法改正における、特許権の保護期間補償制度を適用できる特許の種類の、台湾との比較

中国第4回専利法改正における、特許権の保護期間補償制度を適用できる特許の種類の、台湾との比較

2019年1月4日の、中国の専利法改正草案において、「新薬販売に係る承認審査に要した時間に対する特許權期限延長の補償」に関する規定が提出された。

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BY 柯昱安
 

2019年1月4日の、中国の専利法改正草案において、「新薬販売に係る承認審査に要した時間に対する特許權期限延長の補償」に関する規定が提出された。その後、米中貿易戦争で締結された第一段階の経済・貿易協定においても関連する条文が提出され、中国が、2020年10月17日に公表した、中国第4回改正専利法において、第42条第3項の、「新薬販売の承認審査に要した期間を補償するために、中国での販売が承認された新薬に係る発明特許に対して、国務院行政管理部門は、特許権者の請求により、特許権の存続期間の補償を与えることができ、その補償期間は、5年を超えないものとし、新薬販売の承認後の特許権存続期間は合計14年を超えないものとする」との規定を新設した。それに合わせ、専利法実施細則(以下、実施細則と称す)第85-4條~第85-8條を新設し、存続期間の補償を適用できる新薬の種類と対応する特許の種類、補償期間の計算方法、存続期間の補償の保護範囲、及び救済の流れを規定した。台湾の現行制度と比較した場合、その中でも以下の幾つか注目すべき点がある。

まず、動物用医薬品と農薬に関する特許存続期間の補償に関し、期限の補償を適用できる新薬の種類と対応する特許の種類について、実施細則第85-4條では、「中国での販売が承認された化学薬品、生物製品及び漢方新薬製品の、製造方法特許、または、医薬用途関連の特許が、医薬品特許の存続期間の補償条件を満たす場合、医薬品特許存続期間の補償を請求することができる。前項に規定する新薬関連特許とは,国務院薬品監督管理部門が初めて販売承認した新薬活性成分に関する特許である。漢方新薬特許は、漢方創新薬関連特許及び主要効能が増した漢方改良型新薬の関連特許を含む」と規定されている。この条文を中国専利法第42条第3項とを照らし合わせて見ると、「中国の特許存続期間の補償は、『新薬販売の承認審査に要した期間を補償するためのもの』に限る」ことが分かり、また、中国の動物用医薬品及び農薬に対する規範は、販売許可ではなく、製造許可にあることから、中国の特許存続期間の補償は、台湾と同様に、動物用医薬品が除外されていることが分かる。ただし、中国では「農薬に係る特許の存続期間の補償」に係わる規定を有しなく、この点においては台湾と異なっている。

なお、漢方新薬は中国の新制度で明確に奨励され、この点においては台湾と異なっている。中国では、前記の実施細則第85-4條によると、漢方新薬は、医薬品の中から独立され、新藥と同一視されている。また、中国で、2020年4月に発表された《漢方薬登録管理専門規定(意見募集案)》によると、漢方創新薬とは、「国家薬品基準及び薬品登録基準の『処方』に収録されていない漢方新処方を含み、臨床的価値を有し、且つ海外で販売されていない製剤」を意味する。これは、新処方漢方製剤、及び主要効能が増やされた漢方改良型新薬(即ち、新たな適応症が加わった漢方製剤に相当する)を含む。実際のところ、漢方産業の研究や発展に対する、中国政府の奨励は、確実に最新の特許制度において体現されている。

それに対し、台湾の制度において、漢方に対する規範は、明確でない部分がある。《特許権存続期間の延長の審査基準》は、漢方に関する特許権存続期間の延長は明確に除外されていないものの、制度全体において漢方に対する注目度はかなり低いと言える。《薬品査定登録審査基準》においても、《専利審査基準》においても、西洋薬に対する詳細な規範しか有しなく、《薬品査定登録審査基準》における漢方の章においては、有効成分について、西洋薬のように明確な定義を有しなく、それに加え、《専利審査基準》においては、特許権の延長を登録するための第1回許可証の、「同一の有効成分及び同一の用途によって取得された最初の許可証である」との定義に基づき、漢方の処方欄における「有効の成分」に関連する実際例の説明が提供されていないことから、漢方の特許権存続期間の延長は、現行の台湾の制度における「グレーゾーン」と言える。実際の状況について、2021年2月1日に中華民国専利検索システムにて「特許権存続期間の延長の承認」とのキーワードで検索を行ったところ、結果は187個であったが、そのうち、漢方特許関連の特許権延長が見当たらない。つまり、実務上、今のところ、漢方新薬特許又は固有漢方方剤の新用途特許に対する特許権存続期間の延長がないことである。これは、「西洋薬に比べ、漢方薬に係る発明は、台湾薬品研究の焦点ではない」ことを示唆しているかもしれない。

故に、注目すべきことは、もし中国が新設した特許権の延長に関連する制度により、近いうちに確実に漢方産業の発展を促すとの効果を齎す、即ち、漢方産業において大量に多種類の漢方新薬及び主要効能が増した漢方改良型新薬の生み出しを奨励することに成功するとしたら、台湾も漢方産業の発展に合わせ、「制度において漢方特許に対する規範密度と姿勢を改める」ことを考慮し、もっと完全な特許保障制度で、産業の創新と発展を推進すべきと考える。

参考資料:中国国家薬品監視管理局、《漢方登録の分類及び申請するための資料の要求》政策の解明、2020年

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお気軽にお問い合わせ下さい。

 
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