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専利標示について

専利標示について

台湾専利法第98条には、「専利(特実意を含む、以下同)製品上には専利証書番号を標示しなければならない。

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BY 編集部

台湾専利法第98条には、「専利(特実意を含む、以下同)製品上には専利証書番号を標示しなければならない。専利製品上に標示することができない場合には、ラベル、包装又はその他の他人に認識させるに足る顕著な方法をもって、これを標示することができる。標示をしなかった場合、損害賠償を請求する際、当該物品が専利に係るものであることを侵害者が明らかに知っていたこと、あるいは知ることができたことを立証しなければならない。」との規定を有する。この条項を設立した目的は、専利証書番号の標示により、該製品が専利権の保護を受けていることを人に認識させ、専利権の侵害紛争を避けるためである。以下にて、専利権者が未標示又はその標示が規定に合わない場合、専利権者に対しどのような影響をもたらすかについて説明する。

専利番号を標示するメリットについて、台湾専利法第96条第2項には、「専利権者は、故意又は過失によりその専利権を侵害した者に対して、損害賠償を請求することができる」との規定を有する。つまり、専利権者は損害賠償の請求時に、専利権を侵害した者が主観的に故意又は過失があったことを証明する必要があり、専利法第98条の後段の規定から分かるように、専利権者が専利製品に専利番号を標示することにより、損害賠償請求時の立証責任が軽減されると共に、故意的な侵害に対し倍額の損害賠償金の請求にも有利となる。

専利権者が専利製品に専利証書番号を標示しなかった場合、損害賠償の請求に影響を及ばすかについて、台湾専利法第98条の改正前に、「専利証書番号の標示は、損害賠償を請求する特別要件又は前提条件であり、米国専利法第287条の規定と同じく、専利権者の義務に属し、専利権者が専利製品に専利証書番号を標示しなかった場合、損害賠償の請求に影響を及ばす」との説もあったが、「…現行第98条の条文における『標示しなかった場合、損害賠償を請求することができない』との規定は、専利番号の標示が損害賠償を請求する前提条件又は特別要件であると誤解されやすく、且つ法的見解の相違を引き起こしやすいので、法律上の混乱を生じさせないために、現行条文における『損害賠償を請求することができない』との内容を削除した」との専利法第98条の改正理由から見ると、専利法が改正後に、専利証書番号の標示がなくても、損害賠償の請求に影響は及ばない。また、知的財産及び商業裁判所108年度民専訴字第89号の、専利権侵害に関する財産権紛争事件において、専利権者が専利証書番号の標示をしなかったにもかかわらず、損害賠償の請求に影響を及ぼさず、裁判所は、専利権者の故意による侵害の主張を受け入れ、倍額の賠償金を認める判決を下した。

専利標示が規定に合致しない場合の法的責任について、台湾公平交易法第21条第1項には、「事業者は、商品又は広告において、又はその他の公衆に知らせる方法により、商品と関連し取引を決定することに影響を及ぼすに足りる事項につき、虚偽、不実又は錯誤を招く表示又は表徴をしてはならない。」との規定を有し、当該条項に違反した者に対しては、台湾公平交易法第42条第1項の規定に従い、期限内にその行為の停止又は改善を命じ得るとともに、5万元以上2千5百万元以下の台湾ドルの罰金を科すことができる。他人に損害を与えた場合、被害者は、台湾公平交易法第30条の規定に従い、損害賠償を請求することができる。商品が専利権の保護を取得することは、商品の販売活動に有利な効果をもたらすことから、事業者が専利権取得済みとの表示により消費者の興味を引くものとして、結果的に、公平交易法の違反になってしまう事例がしばしばある。以下にて、その例を紹介する。

1. 公平交易委員会公処字第110007号の処分書の事例。被処分者は、募金プラットフォーム及び自己経営のプラットフォームにてマッサージコームを販売し、その広告には、『専利遠赤外線機能』、『遠赤外線専利』などと主張しているが、自己経営のフェイスブックのファンページにおいては、『専利出願中』と掲載しているため、虚偽の広告と告発された。その後、公平交易委員会は審査を行い、「『専利遠赤外線機能』、『遠赤外線専利』などの広告用語は、既に遠赤外線機能の専利を取得しているとの印象を与えてしまうが、告発された広告期間内において、被処分者は専利証書を取得していないことから、明らかに、広告の内容は事実と一致せず、それが不実で誤解を招く表示であるので、公平交易法第21条第1項の規定に違反している」と認定した。

2. 公平交易委員会公処字第105003号の処分書の事例。被処分者は、『X-BIKE磁気制御式エアロバイク』を販売し、その商品の広告では、『専利番号194051、専利番号M342183(技術レベル6)』と称し、且つ、商品の包装には、『専利番号M342183、製品の偽装に対して責任を追及する』、『専利番号194051、製品の偽装に対して責任を追及する』などと表示していることから、不実の広告又は誤解を引き起こす表示であると告発された。その後、公平交易委員会は審査を行い、「専利法実施細則第79条の規定によると、専利法第98条で定めた専利番号の表示は、専利権消滅或いは取消し確定後にしてはならない。本案に関与した2件の専利は共に、権利期間満了又は年金未納付などの理由により専利権が消滅しているが、被処分者は広告内容の更新を行わず、広告に専利番号を表示し続けていることから、明らかに、広告の内容は事実と異なるので、公平交易法第21条第1項の規定に違反している」と認定した。

 

以上のように、台湾専利法と司法実務の見解から、現在では、専利が公告された後、知的財産局の検索システムで検索すれば、競合相手の専利権に係わる情報を簡単に入手できるので、専利権者に、強制的に専利番号の標示を要求していないが、標示する場合は、公平交易法の規定に違反することを避けるために、明確に専利証書番号を標示しなければならず、専利権消滅或いは取消しの確定後には、広告内容を直ちに更新する必要がある。台湾では、専利権者に専利情報の標示義務を強制的に規定する法律はないが、各国の実務の違いにより、他国では、非常に厳しい標示規定を採用している可能性もあり、その規定に従わない場合、損害賠償の請求額に著しい影響を及ばす可能性あるので、他国での権利取得に当たり、自らの権利を守るためにも、係る規定を特に留意すべきである。

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。 

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