世界保健機関(WHO)は本年3月11日に、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19、武漢肺炎とも呼ばれる)は世界的大流行(パンデミック)に達している」と宣言し、現在、国内外において新型コロナウイルス感染症に関する診断及び治療の研究が注目されている。そのため、当局(訳注:台湾知的財産局)は、米国臨床試験データベースウェブサイトに登録されている新型コロナウイルス感染症に関する臨床試験の資料を元に、小分子及び大分子タンパク質の試験薬品の「元の臨床的使用」、「台湾での薬品許可証の状態」、及び「それに関する主要な特許情報」をまとめて、付表で列記し、その中、「我が国における主要な特許情報」とのコラムでは、さらに特許請求の範囲の標的に基づいて、物質、組成物、用途及び製法などを含む分類を行った。
付表(ここをクリックして下さい)に列記された薬品をその特許の状態に基づいて、以下の三種類(タイプ)に分けることができる。
1.タイプ1(薄黄色):基本的には特許の保護を受けていなく、そのほとんどが長年臨床的に使用されている古い薬品である。又、その中の一部は、外国で関連特許を有するものの、台湾では特許出願を行っていない薬品である。
2.タイプ2(薄青色):台湾では薬品の主要な活性成分を保護する中核特許(core patent)(化合物、抗体分子)を有しないが、当該活性成分の特定の塩類、その活性成分に関する組成物の製剤、用途、若しくは製造方法に関する特許を有する。
3.タイプ3(ピンク色):台湾では、薬品の主要な活性成分を保護するための中核特許を有する。
台湾専利法第59条第1項第2号の規定によると、発明特許権の効力は、「研究または実験が目的で、発明を実施する必要がある行為」に及ばないことから、実験室における実験行為は、侵害に該当しなく、また、主要な活性成分に関する中核特許を有しない薬品に対しては、回避設計を採用する薬品開発を試すとよい。本表により、新型コロナウイルス感染症の臨床試験中の小分子及び大分子薬の概況、及びそれに関する台湾での主要な特許資料を初歩的に理解することができ、ご参考下さい。尚、各発明特許の詳しい内容について、中華民国特許資料検索システムで検索することができる。
資料範囲の説明:本表は、ウェブサイト「clinicaltrials.gov」における、2020/4/30までの薬品資料と、国内外で報道されたより治療の潜在性を有する薬品(臨床試験を行っているものに限らない)とをまとめたものである。
https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-873260-f17e4-1.html
(本文は知的財産月刊vol.263に掲載されるもので、台湾知的財産局の同意を得てここに和訳して転載する。)