専利(特、実、意)出願時には、出願人のデータを正確に記入すべきであり、さもなければ、出願日の取得に支障が生じ、権利の取得に悪影響を及ぼす虞があるので、出願人は注意しなければならない。
出願日は、審査時に、その出願が新規性、進歩性等の要件を満たしているかについて判断するための基準日であり、権利を取得するための重要な要件である。尚、我が国の専利法によると、出願においては、出願権者が申請書、明細書、必要な図面を提出しなければ、出願日を取得することができない。
また、従来では、申請書において出願人の氏名又は名称が記載されたものもあれば、出願時に記載されていなく、その後記載された内容に誤記があったと主張して、補正が行われていた。従来では、この種の補正に対しては寛大に取り扱っていたので、出願日に影響はなかった。しかしながら、そのような方式は、特許法の趣旨にそぐわないだけではなく、他国との調和も取れない。
申請書において出願人の氏名又は名称が記載されていなければ、誰が出願したか確認することができなく、又、出願権者でない者により出願された場合には、該出願は法律に違反することから、これらの出願は受理できなく、出願日も付与できない。故に、知的財産局は、改めて検討した結果、2010年10月21日に「専利審査基準第一篇手続審査及び専利権管理」第二章における「出願人の処理原則」の規定を改正公告し、2011年1月1日から施行し、出願人の身分は出願日を取得するための要件の一つであることを明確に規定した。
以下、改正後の手続審査基準に基づいた、出願人の処理原則のポイントについて示す。
(一)出願の申請書においては、出願人の氏名又は名称を記載すべきであると共に、該出願人は、出願権を持つ者でなければならない。申請書において出願人の氏名又は名称が記載されていない場合には、補正を行うべきであると共に、補正した日が出願日となる。例えば、2011年1月5日に出願をした際に、、出願の申請書における「出願人」の欄に「後で補完」と記載した申請書を提出し、同年2月10日に出願人であるA氏を記載した申請書を再度提出したような場合は、改正後の審査基準の規定によると、その出願の出願日は、申請書が補完された日の2011年2月10日となる。
(二)若し出願後に、申請書に記載された出願人は不適法な出願人であると主張して訂正をした場合には、出願人の訂正を行った日を出願日とする。例えば、出願時に申請書に記載した発明者が甲氏で、出願人がA氏であり、出願後に、発明者を甲氏からB氏へ譲渡した譲渡証明書を補完して、B氏が出願人であるとの主張をした場合、A氏は法律上の出願権を有しなく、即ち法律上の出願権者ではないので、その出願日は、出願人がB氏であることを確定した日となる。又、例えば、発明者が甲氏で、出願人も甲氏であるが、出願後にA社が、甲氏による出願は職務上の発明であることから、出願権はA社に属すると主張する共に、関連書類も併せて提出したような場合、出願した発明は甲氏の職務上の発明であることから、甲氏は出願権を有しないので、法律上の出願権者であるA社によって出願した日を出願日とすべきである。
(三)出願人については、出願時に提出した申請書の記載内容に基づく。尚、出願後に出願人を変更したい場合には、適法な証明書類を提出して出願権の譲渡及び記録を申請すべきである。
上述したように、出願の権利を保障し、確実に特許の出願日を取得するために、出願時に申請書において出願人の氏名又は名称を正確に記載する必要がある。