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Q&A 商標
商標無効審判に関する法的条文及び流れ

質問:台湾における商標無効審判を請求する場合の法的条文及び流れについて

回答:

(一)商標を無効にする審判を請求する場合は、通常、以下の法的条文に基づき主張することができると考えます。
● 商標法第30条第1項第10号における「同一又は類似の商品又は役務について他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似であり、関係消費者に混同誤認を生じさせるおそらがあるもの。」との規定に違反するとの主張ができます。
※但し、同商標法第58条第1項によりますと、「同法第30条第1項第10号の規定に基づいて決められた条件に違反しているが、登録公告後5年が経過している場合は、何人も当該無効審判の請求をしてはならない。」との規定もあります。
● 商標法第30条第1項第11号における「他人の著名な商標又は標章と同一又は類似のものであり、そのために、関連する公衆に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの、又は当該著名な商標又は標章の識別性又は信用を損なうおそれがあるもの。」との規定に違反するとの主張ができます。
※但し、同商標法第58条第1項及び第2項によりますと、「同法第30条第1項第11号の規定に基づいて決められた条件に違反しているが、登録公告後5年が経過している場合は、何人も無効審判の請求をしてはならない。この5年の規定期間は、第30条1項第11号の要件を悪意で満たしている商標には適用しないものとする。」などの規定もありますので、該無効にしようとする対象商標の登録が5年を経過している場合には、この規定に基づき無効審判を提起することはできますが、「悪意」であることを立証しなければなりません。
●商標法第30条第1項第12号における「同一又は類似の商標又は役務について、他人が先に使用している商標と同一又は類似のものであり、かつ、出願人が当該他人との間に契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係を有することにより、前記商標の存在を知っており、模倣の意図を有し、出願によって登録を求めるもの。」との規定に違反するとの主張ができます。
※但し、同商標法第58条第1項によりますと、「同法第30条第1項第12号の規定に基づいて決められた条件に違反しているが、登録公告後5年が経過している場合は、何人も当該無効審判の請求をしてはならない。」との規定もあります。

(二)商標を無効にする審判を請求する場合の流れは、以下の通りであります。
(1) 特許庁へ無効審判(理由書及び証拠を含む。)を提起する。
(2) 特許庁が、請求人が提出した無効審判理由書を被請求人に発送する。
(3) 被請求人側は、請求人の無効審判理由書に対し特許庁通知書の送達の日から30日以内(期間延長可能)に答弁書を提出する。
(4) もし被請求人が答弁書を提出した場合、請求人は、その答弁書の内容について補充理由書又は追加証拠を提出することができる。
(5) 両者ともに補充理由書などを提出しない場合、審査官は、無効審判理由が成立するか否かについての審決を下す。
(6) 特許庁の審決に対して不服のある者は、経済部に訴願を提出することができる。
(7) 経済部の決定に対して不服のある者は、知的財産裁判所に訴訟を提起することができる。

(三)無効審判請求書が提出されてから結論(決定)が出るまでの期間につきまして、以下にてご説明させて頂きます。
(1) 無効審判請求書の提出後には、被請求人から答弁書の提出や、両者から補充理由書又は追加証拠の提出ができますので、この段階に要する期間はその案件毎に異なりますが、通常は4ヶ月~1年程度であると考えます。
(2) 両者ともに補充理由書などを提出しない場合、審査官は、無効にする理由が成立するか否かについての審決を下すことになりますが、それに要する期間は10ヶ月程度であります。

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