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事例(商標)
マクドナルド 「有氧早餐」(朝食名称)の商標登録認められず

大手ファストフードチェーンのマクドナルドは、2006年8月8日に「有氧早餐(ENERGETIC BREAKFAST in Chinese)」(「有氧早餐」は「元気朝食」の意)商標を、第43類「レストラン」の役務を指定して商標登録出願したところ、2007年6月12日に拒絶査定を受けたことから、それを不服として訴願を提起したが、台北高等行政裁判所も、「有氧早餐」は役務の説明であるため、識別力を有しないとし、「係る訴願を却下すべき」との処分を下した。

知的財産局によると、「如何なる設計もせずに、単に中国語を横書きしてなる“有氧早餐”商標は、“食べた人が元気になる朝食”の意を指し、“レストラン”の役務に用いると、該レストランが提供する“有氧早餐”の役務を表彰することになるため、マクドナルドの出願を拒絶した」とのことである。

裁判所は、次のように指摘している。本件商標における“有氧”(“有氧”は“有酸素”の意)という言葉は、エアロビクス、即ち有酸素運動に由来し、身体中に酸素を充満させ、取り込んだ酸素と人体が必要とする酸素のバランスを取り、体全体に活力を与え元気にするとの意味合いを持っている。故に、“有氧”と“早餐”(“早餐”は“朝食”の意)との結合よりなる“有氧早餐”商標が“レストラン”を役務として指定する場合には、該レストランが提供する朝食は、身体の隅々まで酸素を行き渡らせ、生理的にバランスが取れている状態に保ち、活力を生み出し、エネルギーを湧き立たせるとの意味合いが込められることになる。以上を鑑みると、“有氧早餐”(元気朝食)は単にレストランが提供する役務の性質を説明しているだけであるので、商標法に基づき、本件“有氧早餐”商標の登録出願を拒絶すべきである。

マクドナルド側は、「2005年からアテネオリンピックのテコンドー競技で金メダルに輝いた朱木炎選手、米大リーグニューヨークヤンキースに所属する王建民投手等の有名人を相次いでテレビCMのキャラクターに起用して、シリーズのテレビCMを頻繁に流すことにより、人々の注目を集め、そのうち、2006年に放映された、王建民投手が出演した“有氧早餐卡”(元気朝食カード)のテレビCMは、特に人気を呼び、“有氧早餐卡”が予想以上の売れ行きとなった。この事実からも判るように、消費者は既にマクドナルドの“有氧早餐”商標に馴染んでいるので、“有氧早餐”商標は間違いなくマクドナルドが提供する役務をはっきりと識別させる機能を有している」と強く主張している。

これに対して裁判所は、「マクドナルドは確かに宣伝ポスターやテレビCM等において、“有氧早餐(元気朝食)は、午前10時半まで提供”、“マクドナルドの有氧早餐(元気朝食)でエネルギー満タン”、“1日の活力は、マクドナルドの有氧早餐(元気朝食)から”等の標語を用いているが、これらの広告を見ると、消費者に特に印象を与えるものはやはり“マクドナルド”商標であり、“有氧早餐(元気朝食)”は単に“マクドナルド”商標に係るサービスの一部に過ぎない」との判断を下した。

更に裁判所は、「マクドナルドの朝食メニューにおいては、“有氧早餐(元気朝食)”商標が単独で使用されることはないことから、マクドナルドは、“有氧早餐(元気朝食)”を商標として使っているとは言えないので、それに係る朝食の役務を表彰することもできない」とし、マクドナルドの訴願を却下した。

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