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事例(商標)
台湾で「讃岐」うどん名乗れず 日本の地名を現地企業が商標登録

1998年に台湾で「讃岐」の商標登録を行った南僑化學工業股份有限公司は、台湾の台北市に進出した日本の讃岐うどん店「土三寒六」に対し、店の看板から「讃岐」の表示を外してほしいと申し入れた。

昔ながらの手打ち製法で作られた讃岐うどんは、コシの強い独特の食感と、喉に麺が通る時の"モチモチ"感と、"つるん"としたのど越しで人気を呼んでいる。南僑化學工業股份有限公司は、香川県の冷凍食品大手加卜吉と技術提携し、冷凍うどんの製造、販売をしており、10年前に台湾において「讃岐」の商標登録を行った。

一方、讃岐うどん店「土三寒六」は、讃岐うどんの本場、香川県で修行を積んだ樺島泰貴さん(36)が二年前に台北に出店し、サラリーマンとOLから熱い支持を受けている。しかし、昨年11月に南僑側から内容証明が届き、その後に「一週間以内に看板の表示を変更しなければ告訴する」と警告されたことから、やむを得ず「讃岐」の文字を看板から外した。

樺島さんは、「讃岐」の文字が使用できないことに納得がいかず、財団法人交流協会台北事務所に陳情書を提出し、更に、台湾において「讃岐」が地名と認められれば登録は無効にされるということで、樺島さんは、「地名と証明するために、県や讃岐うどん協同組合のような組織で無効審判を起こした方がよいとの弁護士の助言を受けたが、なかなか実現しない」と話している。

財団法人交流協会台北事務所によると、「日本製のものは品質が良いというイメージがあるため、日本の地名がよく商標登録される。台湾の商標法でも商品の品質や産地を混同誤認させる虞のあるものは、商標不登録要件に該当すると定められていることから、著名な外国地名は商標登録できないが、今回のように台湾で馴染みが薄いと判断され地名が登録される場合もある」という。

昨年来台した香川県観光交流局は、美味しいうどんを通じて、より多くの台湾人に香川県を知ってもらおうと「土三寒六」を「さぬき大使館」に認定した。この地名を巡る商標事件は、日本のマスコミにも大きく取り上げられ、現在「讃岐」が地名であることに関心が寄せられている。因みに、台湾の現地企業に商標登録された日本の地名は他にも「青森」、「熊本」、「香川」、「佐賀」等がある。

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