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PCT国際出願に係る新たな訂正規定の、欧州特許庁の関連手続への適用

李宗勲

2020年7月1日に、新たなPCT施行細則第20.5の2(Rule 20.5bis PCT)が施行された。即ち、PCT国際出願として提出された、発明の説明、請求項、又は図面の全て又は一部が誤って提出された若しくは誤って提出されたと認められる場合に、通知により補正が許可されることになった。但し、この新たな規定の一部は、EPCの法規と相容れないことから、適用できない場合がある。その詳細は以下の通りである。

1.欧州特許庁が受理官庁である時、PCT施行細則第20.5の2を適用して補正を提出する場合は、次の二通りのみとなる。(1)補正書が、欧州特許庁が出願日をPCT国際出願に付与した日(含)より前に提出された場合、当該補正書は、誤った部分の代わりとなり、その出願日は維持される。(2)補正書が、欧州特許庁が出願日をPCT国際出願に付与した日の後に提出され、且つ参照による援用(incorporation by reference)が請求されていない場合、当該補正書は、誤った部分の代わりとなるが、その出願日は、補正書の送達日となる。欧州特許庁が受理官庁である場合、出願人が「参照による援用」とのことを目的として請求した補正は受理されない。出願人は、このようなニーズを有する場合、受理官庁を国際事務局(IB)に変更してIBの取り扱いにしなければならない。

2.欧州特許庁が国際調査機関である場合に、調査開始前に受理官庁から補正書が送達された時、当該調査は補正書の内容に基づいて行われる。一方、調査開始後(調査完了後の場合を含む)に受理官庁から補正書が送達された場合、欧州特許庁は出願人に対し通知を行い、出願人が補正書の内容に基づいて調査を行うことを希望する場合は、1ヵ月以内に追加の調査手数料を納付しなければならない。また、補正書の送達が調査開始後で調査完了前であり、且つ出願人が追加の調査手数料を納付した場合、欧州特許庁は、補正書に基づく調査報告書の発行に加えて、補正前の書類についての開始された調査を完了し、出願人の参考用として非公式調査報告書を作成するが、公式調査報告書のファイルに入れない。

3.欧州特許庁が国際予備調査機関である場合に、その出願において前記調査段階に関連する補正があれば、国際調査機関が調査を行った出願のバージョン(即ち、補正書を含むバージョン)に基づいて審査を行う。

4.受理官庁において、前記規定に基づいて出願受理段階で行われた補正が、参照による援用である場合、当該補正は、欧州特許庁が指定官庁である(即ち、PCT国際出願が欧州地域に移行した段階)場合に無効とみなされる。このような出願について、標準的手続によると、欧州特許庁は、「補正バージョンを当該明細書の内容とし、その補正書の送達日を出願日とする」ことを出願人に通知する。また、2ヵ月の期限内に、出願人より「補正書を放棄する」との返答があった場合、その出願日は変更されず、当該出願の明細書の内容は補正前のバージョンであるとし、一方、出願人は、PCT施行細則第20.8条(c)に基づく「参照による援用」に関連する声明の提出を選択することもでき、この場合、欧州特許庁は、それに基づいて中間決定(interlocutory decision)を下し、略式手続に係る処理によると、出願人は、国内段階に移行後、31ヵ月の期限内に、又は遅くとも前記標準的手続において欧州特許庁から通知が発行される前に、自発的に補正書の放棄を請求することができ、この場合、欧州特許庁は、直接に中間決定を下して、「その出願は、元の出願日が維持され、明細書については、補正前のバージョンを維持する」こととする。また、出願人は前記期限内に、「補正後の明細書により手続きを続行し、補正書の送達日を出願日としてもらいたい」との旨を自発的に声明することもできる。なお、出願人は、「PCT国際出願が欧州特許庁の公用語以外で公開されている場合は、欧州地域に移行する段階で翻訳文の提出が必要であり、また、その翻訳文の内容は、公開された文書と完全に一致していなければならず、即ち、出願人より提出される翻訳文には、明細書の誤記版及び補正版が含まれていなければならず、且つ誤記部分及び補正部分が明確に表示されていなければならない」ことに留意すべきである。

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