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出版品(法律/訴訟)
商標登録出願においては、元々識別性を有しない音の商標について、出願人は、その商標の使用を通じて、識別性を具備していることを証明しなければならない。

以下にて、2009年行商訴字第74号判決の趣旨を参考にし、「音の商標」の登録出願実務を簡単に紹介する。

現行商標法第5条第1項における「商標は、文字、標識、記号、色彩、音、立体形状又はそれらの組合せによって構成することができる。」との、音と立体形状を商標として登録出願できる規定は、2003年5月28日に改正され、同年11月28日に施行され、また、同条第2項における「前段落に定義した商標は、それに係るの消費者が、当該商品・役務を同定するものとしてそれを認識し、かつ、他人の商品・役務と区別するに足る十分な識別性を有するものでなければならない。」との規定からも分かるように、商標の識別性の観点から言えば、商標の主要な機能が、商品・役務の出どころを識別し、もしある標識により商品・役務の出どころが表彰及び区別できない場合には、商標はその機能を有しないので、当然ながら、登録出願を認めるべきではない。

いわゆる音の商標とは、『立体、音及び色彩商標審査基準』4.1の規定によると、係る消費者が、商品・役務の出どころを区別させるに足る音を指しており、例えば、識別性を具えた簡単な宣伝曲、メロディー、人が話す声、鐘の音、鈴の音或いは動物の鳴き声等である。また、音の商標の識別性については、『立体、音及び色彩商標審査基準』4.3において、「音の商標は視覚的ではなく、聴覚的な方法を以って、商品・役務の取引の出どころを区別するものであるが、その商標識別性の判断基準は、その他の商標態様と別段異なるところはなく、係争となっている音が、消費者にそれが商品・役務の出どころを表彰するものであると認識させるに足り、それにより、他人の商品・役務と区別できるする標識を具えている...」と規定され、これに対し、2009年行商訴字第74号判決においては、「商標法第23条第4項の規定により、本条第1項第2号又は第5条第2項の規定は、登録を求めている商標を出願人が使用した結果、出願人が業として提供する商品・役務について識別性を有する標識となっている場合は適用しないものとする。出願人は、元々識別性を有しない音の商標に対し、その商標をすでに使用し、識別性を有するものとなっていることを証明しなければならない。また、原告が『すもう人形』を商品の景品としたり、ウェブサイトで人形のコーナーを設置したりすることは、係争商標を使用する態様ではなく、更に原告は、公式サイトにおける着うた、着メロのダウンロードサービスの提供に関し、係争商標の検索資料を提出したが、実際にダウンロードされた回数と使用者の人数につき、立証可能な資料を有しない。また、原告が提出した三つの短編映像に対し、実際にマスメディアに流していることが証明できなく、しかも、提出した宣伝料金の領収書の写しには、単に『宣伝料金』と表記されているだけで、委託により放送した宣伝の内容については確認できていない。その上、『すもう人形』は、単に電気商品を販売するときの景品であることから、一般消費者は、係争商標音楽を聞いた時、原告のブランドのエアコン関連商品を連想するが、当該ブランドの人形、おもちゃが標識であると思わない。したがって、係争商標は、第28類の商品において、商標識別性を有しなく、商品の出どころを区別する標識ではないので、商標法第23条第4項の規定は適用しない...」と指摘した。

前記商標識別性は、先天的な識別性と後天的な識別性二つの種類分けられているが、前者は商標を使用しなくても自身固有の識別性、後者は標識に元々識別性を有しないが、市場で使用した結果、関連消費者が、その標識が商品・役務・役務の出どころを表彰するものであると認識させるに足りる場合には、後天的な識別性を有する。更に、音の商標は特殊形態の商標であり、文字、図形、記号で組合わされた伝統的な平面商標と異なるので、一般消費者は、商品・役務の出どころを区別する標識と思わない。ゆえに、前記判決の通り、音の商標登録出願のポイントは、後天的な識別性を有するか否かにある。

『商標識別性審査基準』5.1の規定によると、出願時に、係争商標にすでに識別性を有することが証明できる証拠としては、「(1)商標の使用量、使用期間の長短及び同業の使用現状。(2)売り上げ、営業額、市場占有率。(3)宣伝量、宣伝費用、バーゲンセールの資料。(4)商売区域、市場分布、販売拠点又は展示場所の範囲。(5)各国の登録証明。(6)市場調査報告書。(7)その他後天的な識別性が認定できる証拠。」などがある。しかし、登録を求めている商標が、出願人の使用を通じてすでに識別性が具わってることを立証する責任は、前記判決の見解と『商標識別性審査基準』によれば、出願人が負わなければならない。したがって、出願人は出願する前に、先に相関証明資料を準備しておいた方がよく、尚且つ相関資料は国内のものの方よりよい。なぜならば、もし国外の相関資料をもって出願する場合には、国内消費者がその国外の相関資料の情報を認識していることを証明して、初めて証拠と認められる。

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