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出版品(特実意)
タイトル:台湾特許侵害鑑定要点とはどのような性質を持つかについて (2018/07)

「特許侵害鑑定要点」については、特許法の一部ではなく、鑑定機関や裁判所が鑑定を行う時の参考として台湾知的財産局より作成されたものである。又、この「特許侵害鑑定要点」は、2004年9月27日に台湾経済部のウェブサイトにおいて以下のような新聞記事が発表されており、その内容に基づけば、この「特許侵害鑑定要点」について理解し易くなる。

該新聞記事の和訳:

『最近、台湾経済部知的財産局は《「特許侵害鑑定要点」の修正草案》を完成し、台湾大学を始めとする計55箇所の特許侵害鑑定専門機構に、新しい仕事の規範を設けた。

特許侵害訴訟は各種の専門知識と経験が関わっており、関係裁判所と検察官は鑑定人の選定及び関係業者への鑑定委託が常に必要である。司法の質を高めるため、台湾の改正特許法第92条では、特許侵害案件審理の際、裁判所と検察官による権威性のある専門業者への鑑定協力の委託を素早く実現するため、司法院は専業の特許侵害鑑定機構を事前に指定しなければならない、という規定を設けた。

従って、台湾の改正特許法の公表、実施以来、台湾経済部知的財産局は、台湾司法院と協力し、特許侵害鑑定を担当することを望んでおりかつその鑑定資質を持つ台湾大学などの55箇所の専門機構のリストを作成し、参考としてそのリストを裁判所に送った。

台湾知的財産局によれば、上述専門機構に対して仕事の規範を制定するため、1996年1月に公布された「特許侵害鑑定標準」に基づいて、更に米国、日本及びヨーロッパ各国など、又は地域における特許侵害案例の状況も参考にした上で、今回の《「特許侵害鑑定要点」の修正草案》を完成したという。

この《「特許侵害鑑定要点」の修正草案》は、上篇と下篇の2部分を有し、そのうち、上篇の「特許権侵害についての認識」には4章が含まれ、主として特許権の定義、性質、種類、期限、効力及び制限について記載されているが、特許権侵害の定義、その証明、救済、侵害賠償及び案件処理注意事項などについても論述されている。一方、下篇の「特許侵害の鑑定原則について」は「発明(実用新案)特許」と「意匠設計」との2部に分けられ、特許侵害の適用範囲、鑑定ステップ、鑑定方法及び鑑定報告書式などについて説明している。』

以上の記事から、台湾の「特許侵害鑑定要点」は、特許法の一部ではなく、上記台湾大学など55箇所(当初)の専門機構が特許侵害鑑定を行うときに、鑑定の正確性を上げるために参考とするものであることが理解できる。なお、この「特許侵害鑑定要点」は、司法院により2004年11月2日に各級の裁判所に送付され、既に使用されている。

又、去る2008年7月1日に設立され、知的財産権にかかわる訴訟案件の審理を担う台湾知的財産裁判所でも、特許侵害訴訟の場合において、前記特許侵害鑑定要点に基づいて、特許請求の範囲の解釈、文言侵害、均等侵害などに関する判断を行っている。

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