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出版品(特実意)
2023年に公布された「意匠の明細書及び図面作成の注意事項」のキーポイント及び実務操作について (2024/03/29)

編集部

一、前書き

知的財産局は、2023年9月に新たに改訂した「意匠の説明書及び図面作成の注意事項」を公布しました。今回の改訂は、2020年の審査基準改訂時に「意匠出願時に六面図を提出すべきである」との規定が緩和されたことに合わせて、現在の意匠出願の図面の多様化に対応するために、一部の内容を更新及び修正したものであります。

二、具備すべき図面についての説明

●意匠の内容を明確に表す十分な図を提出する必要があり、但し、参考図またはいかなる「参考」と表示されているものは、十分な図に含まれません。

●十分な図とは、物品の特徴に応じて、立体図(斜視図)とその他の正投影図の組み合わせ、或いは二つ以上の立体図のみによりその意匠の立体設計を表現できる図面であります【図1参照】。

●未開示の図は、原則上「意匠を主張しない部分」と見なします。

●意匠が立体である場合は、少なくとも一枚以上の立体図を含まなければなりません。原則上、立体設計を明確に示するように該意匠のキーポイントを最も明確に開示できる視角からの図面を選ぶべきです。

【図1】

 

実務操作時:

図面を使用する場合は、参考図を使用するタイミングに注意しなければなりません。特殊の原因により、立体図及び六面図を用意できない場合、立体図とその他の正投影図の組み合わせ、或いは二つの立体図のみを使用することができますが、注意しなければならないのは、各図面における特徴はいずれも意匠を主張したいものである場合、どのような組み合わせであっても、十分に開示されていない或いは未開示により「意匠を主張しない部分」と見なされることを避けるために、必ず立体の六面図における特徴を表現しなければなりません。一方、該図面は「意匠を主張しない部分」である場合、出願時に直接開示しなくてもよく、例えば大型機械又は車両の底面図などのような一般消費者が見ることのない部分の図面は、省略することをお勧めします。

三、図面の開示方式

●図面がグレースケールのコンピューターグラフィックス、又はモノクロ写真の方法で表示している場合、意匠を主張する範囲を明確にするために、意匠の説明において「本願はモノクロ画像(グレースケールのコンピューターグラフィックス)で表現したもので、各図の表面に示される濃淡は本願の形状を表現したに過ぎず、図に示すモノクロ(グレースケール)の色彩を主張するものではない」ことを説明することができます。

●図面が直線、点描方式で形状の陰影を表現する場合、意匠の内容を明確にするために、意匠の説明において「図において陰影線で描かれた陰影は本案の立体形状を表現するものであって、表面の模様を表現するものではない」ことを説明することができます。

●物品の長さが極めて長くなければ、該意匠を破断線(break line)で表してはならない。また、意匠の表現において「意匠を主張しない部分」を有する場合、破線、一点鎖線などの線により表現すべきです。【図2参照】

【図2】

 

実務操作時:

コンピューターグラフィックス及び直線、点描方式で形状の陰影を表現する場合、意匠の内容を明確にするために、その状況を説明書に記載することをお勧めしますし。

筆者は、「意匠の明細書及び図面作成の注意事項」において言及された極めて長い物品について、その中間部分の表現を省略してもよいものとは、両端の特徴の延長から該中間部分の内容を直接知り得ることができ、且つ長さが限定されていない、例えばアルミ押出材のような製品であると考えるが、【図2】における、タブレット及び蛇口は、両端に同様な特徴を有しなく、更に一定の長さに限定されていることから、極めて長い物品とは言えないので、「意匠を主張しない部分」を破断線方式で表現するべきではなく、【図3】のように、破線及び一点鎖線方式で表現した方がよいだろう。

【図3】D227481

 

参考資料:2023年に公布された「意匠の明細書及び図面作成の注意事項」 

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